私は、教えることとピアノを弾くことが大好きです。
だから、ずっとピアノの先生になりたくて邁進していました。
それなのに。
いつから、ピアノは重荷になってしまったのだろう。
演奏会で弾いてもお前のピアノよりもずうっと年下の子の演奏が上手だねと言われて褒められることなどなくなってしまった時だろうか。
それだから入試にも落ちるのだと詰られてお前のピアノでは通らないと言われ続けた時からだろうか。
お前のピアノは下手くそだからうるさくて聞きたくないと言われた時からだろうか。
思い返すと、本当に何でピアノにこだわっていたのだろうと思うほどです。
いつからかピアノを弾くと怒られる気がして集中出来なくなっていました。
というよりも、存在しているのが申し訳なくって、息をすることでいっぱいいっぱいでピアノを弾くことまでいかないことが増えました。でも全く弾かないことは出来なくて。
そうなってからしばらくしてから。
ずっと私のピアノなど嫌いだと思われてると思い込んでた人に
あんたは弾けるんだよ?下手くそだなんて思ったことないよ。
とさも当たり前かのように言われて、10数年ぶりに自分の演奏を肯定してもらいました。
雷に打たれたような衝撃でした。
もう5年以上は私の演奏は詰られて否定され続けていたので自分の演奏を肯定的に捉えられるなんて想像したこともなかった。
私の演奏は、そんなにひどいものでは無いのかもしれないと思うことが出来ました。
どんなに詰られて否定されても辞めることの出来なかったもの。
1度肯定されると私の音はとてもすんなりと私の中に入ってきてくれて。
私、やっぱり好きなんだよなぁと思うことが出来ました。
こんなふうに弾きたいな、先生が言ったことが出来るためにはどうするんだろうと工夫し始めると止まらない。
あれも、これも、と考え出すとパンクします。
私のキャパシティを簡単に超えてしまう。
今も長い時間弾くことは出来ません。弾けない時期もあって、今その時期だったりします。
それでも、やっぱりピアノを教えることを職としたいと思うのです。
1度は離れてしまったものだけれど、私のピアノが楽しいと思う気持ちを誰かに伝えたい。
なにか夢中になれる物があると人生が変わることもあると、知ったから。
その選択肢のひとつにピアノを入れる手伝いがしたい。
世界を広げる方法は世の中に沢山あって。
ピアノは、趣味にもなるし自分との対話もできる。
自分の個性を見つめる時間にもなるんだと思っています。
好きなことは仕事にしない方がいいとはよく言いますが、そんなことではもうピアノは嫌いになりません。
大好きなものを、誰かに伝えることが出来るように
努力するのみ。