あったことは、消えないわけで。
面倒事を先延ばしにしてなかったことにならないかなと思うのは、彼の昔からの悪い癖。
馬鹿みたいに私に怒られてから大分数は減ったけどやっぱりやってしまうけれど。
その癖は遺伝だったらしい。
残念なことに、無くならない。
大体のことはことが大きくなるだけ。
それが分かってるのにわかってないふり。
そんなに辛そうな顔をして知らんぷりは無理があるでしょう。
自分のために我慢してなんてあなたには向いてない、もっと非情にならないといけない。
そして、転がる玉は砕けるまで転がり続ける。
覚悟がないのに子供なんて産むんじゃないよ。
自分より大切にする覚悟、自分が不幸にしてしまう覚悟。
生温い自分だけ少し楽でみんなちょっとだけ不幸になるところから自力で抜け出す覚悟。
子供が産まれてやっぱり確認した。
私は、産んで欲しいなんて頼まれてない。
私と彼が心の底から会いたくてお願いして生まれてきてもらった。
そんなことも忘れて、忘れたフリをして。
なんとなくみんな我慢して自分にとって楽になる方にいけばいいなんて、人に全てを押し付けて。
なんで何も分からない子供にすら責任を擦り付けようとするのか。
絶対に許さない、私たちは傷つけるためにこの子の誕生を望んだわけじゃない。
分からないうちに傷つけられた傷は、分かった時には更に大きな傷となり一生消えない傷としてずっと傷つくことになる。
そんな悲しいことを親として許すわけにはいかない。
私たちも、そういうふうに守って欲しかった。
だから間違えない。
子供は親の道具じゃない。
なかったことにはできないよ。
とりあえず、あなたが覚えているうちは。